大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1700 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人戸倉嘉市の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りである。

論旨第一点に対する判断。

証人申請を適当に取捨選択することは、事実審の裁量権に属することがらである

から、被告人と共犯の疑がある者で、当初所在不明のため捜査当局の取調を受けな

かつた者の所在が明らかとなつたからといつて、必ずその者を証人として取り調べ

なければならないというわけのものではない。本件の場合、原審はすでに他の多く

の証拠を取り調べているほか、被告人側が事件の主謀者であると主張したAをも証

人として尋問しているのであるから原審が、所論証人Bの尋問を必要がないと認め、

一旦した証拠決定を取り消して、その申請を却下したことは、何等不合理な措置で

はなく、これをとらえて、所論のように弁護人の弁護権乃至被告人の防禦権を不法

に制限した違法があると非難することはできない。論旨は採用し難い。

同第二点は、量刑不当の主張であるから、刑訴応急措置法一三条二項により、適

法な上告理由にならない。

同第三点に対する判断。

被告人は原審公判廷で、所論の点に関しては、代金は全部払わなくても、いくら

かの金はやるつもりで、自分達のほうで品物を処分してから、向うで値を安くすれ

ば払う考だつたが、思い切つて値切れば向うで応ずるかどうかわからなかつた、と

述べているのであつて、約定代金の一部を支払うだけで、全額を支払意思のなかつ

たことは、明らかにこれを自認しているのである。従つて原判決が、被告人の原審

公判廷における供述を、「代金は銀行の保証小切手にして現品と引換えに即時支払

う約束であつたことは知らなかつたと弁疏する外判示同趣旨の供述」として引用し

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たことは何等不当ではない。そうして右供述その他原判決挙示の各証拠を綜合すれ

ば、原判決の事実認定は充分にこれを肯認することができるのであつて、すこしも

所論のような理由のくいちがいはない。論旨は採用できない。

よつて旧刑訴第四四六条に従つて主文の通り判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官 田中巳代治関与

昭和二六年三月二〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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